「今まで、いっぱい……っ…… いっぱい、ありがとね」
ようやく言えた、心からの「ありがとう」の言葉。
けれど翔は恥ずかしそうに頭をカシカシと掻きながら俯くと
「いっぱいってべつに……。俺は特に礼言われることなんて、なんもしてねーよ」
「でも!」
「俺がしたくて勝手にやっただけなんだから、気にすんなっつーの」
私がこれ以上気にしないよう、わざとぶっきら棒な口調でそう呟いた。
翔……ほんとに……優し過ぎるよ……。
「だ~か~ら~! んな、しょげた顔もうすんな!」
感極まって今にも泣き出しそうな私を更に気遣ってか、翔が私の頭をわしゃわしゃと乱雑に撫で回す。
何気ないけれど懐かしいその仕草に、我慢していた涙がどっと瞳から溢れ出した。
「ふ……ふぇ……っ。翔~……っ」
「っだ~~~っ! だから泣くなって!」
「うぅ……っ、だってぇ……」
ここが公衆の面前だということも忘れ、涙で顔をグチャグチャにしながら泣きじゃくる私。
校門から出てくる生徒達が、当然のことながらチラチラと横目で私達を見ながら通り過ぎて行く。
けれど翔は、そんな生徒達の好奇の視線など特に気にするふうもなく
「ったく、相変わらず七瀬はしょ~がね~なぁ」
悪態をつきながら苦笑し、私が落ち着くようポンポンと優しく頭を叩いてくれた。

