「う~ん……ないなぁ……」
ガサガサッ……ガサガサッ……
「茂みの中にも見当たらないよぉ……」
四つん這いになって這うようにして隅から隅まで一通り探したのだが、手帳は一向に見つからない。
もしやもう既に、他の誰かに拾われてしまったのだろうか……?
最悪の事態を想像するだけで、口から心臓が飛び出そうになる。
あの写真を誰かに見られたらと思うと、とても平常心ではいられなかった。
「ないー……ないー……ない……ない……ないっ……どこにもないよーっ!」
苛立ちから頭をぐしゃぐしゃと両手で掻きむしり、その場に膝をついてぐったりとうなだれる。
これからどうすればいいかわからなくて、頭の中はパンク寸前だった。
そんな時……
「な~なせちゃんっ」
不意に背後から、私の名を呼ぶ声が聞こえてきた。
「?」
こんな朝早くに誰だろう……?
不思議に思いながらも重い頭を抱えるようにして振り返り、声のした方へと顔を上げた。

