桐生君、私のこと呆れちゃったかな。
それなのに、こんな状況にも関わらず、自分勝手な思いだけは不思議と尽きることなくわいてくる。
現実逃避からなのか、ネガティブ思考ばかりが増幅しどんどん膨れ上がって行く。
あたりまえだよね。さんざん嘘ついてその上だんまり決め込んで……。
呆れるどころか、失望? ううん、きっと、嫌われちゃったよね……。
自分で蒔いた種とはいえ、今更ながらにやるせない気持ちが私を襲う。
もとより嫌われるのは覚悟のうえで行動したことだったが、いざ実際にそうなってみると、ちっとも心の準備などできていなかったことに改めて愕然とした。
そうして本日何度目かの自己嫌悪に苛まれ、またしてもこりずに悪循環を繰り返す情けない私。
そんなことを鬱々と考えているうちに、今度はこうして桐生君の目の前におめおめといる自分が、なぜだか無性に許せなくなってしまった。
私ってば、ホントにイヤな女の子だな……。
桐生君から本当に嫌われるのが恐くて、桐生君を追い続けることも、潔く身を引いてそれを貫き通すこともできないなんて。
何をやっても中途半端で…… ほんと…… 情けないったら……。
一度溢れ出した負の感情は、そう簡単には止まらない。
こんな自分勝手なヤツが、これ以上桐生君のそばにいていいはずないよね。
私なんかが桐生君の幸せをメチャクチャにするなんて……。
そんなのやっぱり、あっていいはずないんだよね……。
心も体も、全部が泣いてる。
本当は、このままこの人から離れたくない。
これからもずっとずっとそばにいて笑っていたい。
そんな思いが体中から、痛いくらいにわき上がってくる。
けれどやっぱりそれは、自分勝手以外の何ものでもなくて。
悲しい現実に耐えるように、私はギュッと下唇を噛んだ。

