「あ、あの……っ」
ものすごい力で両肩を掴まれ、全身が鋼のように強張る。
や……だ……、どうしよう……!
張り詰めた空気に耐え兼ね、慌てて視線を外そうとするけれど……。
私を見据える、そのあまりにも真っ直ぐな桐生君の瞳にまるで縫い止められてしまったかのように、どうにも目を逸らすことができない。
「否定しないってことは、やっぱり本当なんだな」
「っ!」
いつもよりも数段低くて重い強圧的な声で核心をつかれ、おもわず喉の奥で呼吸が止まる。
戸惑いと狼狽からそのまま声を詰まらせていると、さすがに業を煮やしたのか、桐生君の荒々しい声が私に降り注いできた。
「んでだよ……。なんで風間のことフッたんだよっ」
桐生君の顔が、クシャリと苦しげに歪む。
「痛っ」
桐生君の指が私の肩に食い込み、なぜだか胸の奥にもズキンと痛みが走った。
私、どうしたらいいの?
正直、なぜこんなにも桐生君が怒っているのか意味がわからない。
そりゃ、翔と付き合うなどと嘘をついたのは申し訳ないと思う。
しかし、だからといって私が本当に翔と付き合おうがどうしようが、そこまで桐生君がこだわる必要はないように思えるのだけれど……。
どうにも解せない桐生君の態度に、ただでさえ混乱している頭がより一層グチャグチャに掻き乱される。

