「星……きれいだな……」
「っ!?」
問いかけともとれる突然の桐生君のつぶやきに、驚きのあまり肩がビクリと跳ね上がる。
「ほ、星っ!? う、うんっ! そうだね! すっごくキレイだよねっ」
「あぁ……」
恥ずかしいくらいに緊張してしまっている自分がこれまた恥ずかしくて、どうにも冷や汗が止まらない。
私ばっかりバカみたいに意識しちゃって、ホント恥ずかしいったら。
ドキドキとうるさい胸の鼓動を懸命になだめる。
そういえば、さっきまでは桐生君もどことなく落ち着きがなかったけど。
なのになんか今は妙にどっしりしちゃってるとゆ~か、なんとゆ~か……。
ふとそんなことが気にかかり、何気なく隣の桐生君の横顔を盗み見る。
う……わぁ……っ
その刹那、私の視界から桐生君以外の物が全て排除され、一瞬にしてその横顔に目を奪われてしまった。
キレイ……。
切れ長の瞳を細め、踊り場の窓から覗く夜空を見上げている桐生君。
その美しく整った端正な横顔に、おもわず感嘆の吐息が漏れた。
星よりもなによりも、桐生君のほうがずっとずっとキレイだよ。なんだか……夢の国の王子様みたい。
これで電気を消して窓から差し込む月明かりに桐生君が照らされようものなら、間違いなくお伽の国に自分が迷い込んでしまったのだと錯覚してしまうだろう。

