誘われておもわず頷いちゃったけど……いったい今更何を話せばいいんだろ……?
昔と同じように、階段に肩を並べて座る私と桐生君。
勢いでこの場に留まってしまったものの、やはりいざ二人きりとなると、なんともいえない気まずさがこみ上げてくる。
更に緊張からか桐生君側の半身だけが異常に強張り、どんどん熱を帯びてくるのが自分でもわかった。
どどど、どうしようっ。ん~と、話……話……。世間話っていっても、特にこれといって思いつかないよ~!
あまりにも重い空気に耐えかねて何事か話題を振ろうと試みはするものの、動揺からか一向に何も思い浮かばない。
よくよく考えてみれば、桐生君とは別段共通の趣味があるわけでもなく、もちろん嗜好や性格もあまり合うとは言い難い。
いつまでも飽くことなく桐生君と会話していた昔の自分が、今となっては不思議にさえ思えてくる。
う~む……。 やっぱここは無難に天気の話っきゃないかな。これなら老若男女問わず万国共通、通じる鉄板ネタだもんね。
え~っと、確か明日は晴れっていってたっけ?
そんなことをクソ真面目に思い出しながら、よしっ、いくぞ!と気合を入れて口を開きかけた……のだが。
おもいがけず私の言葉は、桐生君の声によって遮られたのだった。

