「どどどど、どうしようっ!!」
サーッと顔から血の気が引き、せっかくお風呂で温まった体が、凍りつくように急激に冷えて行く。
「あんなの誰かに見られたら、私もう生きていけないよーっ!」
私が嘆いている『あんなの』とは、先程私が元気を貰おうとしていた物……、つまり翔の写真のことだった。
どうしても翔の写真が欲しくて、以前体育祭の時にこっそり隠し撮りしてプリントしたのだ。
それをひそかに手帳の中に入れて、常に持ち歩いていたというわけである。
たまたま笑顔のベストショットが撮れて嬉しかったせいもあるのだが、せめて写真の翔だけでもいいからいつも一緒にいて独り占めしたい、というのが本音だった。
元気がない時や辛い時は、いつもその写真を見て元気を貰っていたのだけれど、まさかこんなことになるとは……。
混乱する頭を落ち着けるように、数回大きく深呼吸をする。
と、とりあえずどこで失くしたか思い出さないと……!
はやる気持ちを抑えながら、今日の行動をひとつひとつ丁寧に振り返ることにした。

