「え~っ!? 嘘でしょ~っ!?」
「うっわ、マジかよ」
……? なんだろう?
階段をのぼり3階に辿り着いたところで、どこからか生徒達のそんな声が聞こえてきた。
3年H組の教室に近付くにつれ、ザワザワとしたざわめきが次第に大きくなる。
どうやら騒ぎになっているのは、私のクラスのようだ。
こんな朝早くから、何かあったのかな?
普段とは明らかに違った異様な雰囲気に、沈んだ心が更に重苦しくなってゆく。
寝不足で体調も優れないせいもあり、いくら他人のこととはいえできれば今日だけはガヤガヤとやかましいのは勘弁してほしかった。
それでも我慢して重い頭を抱えながら、ゆっくり教室の中へ入って行く。
すると……
何……これ……?
目の前に広がる光景に、驚きのあまり目を見開く私。
黒板の前にできた、想像していたよりも遥かに多い人数の人だかりに、半分ボケていた私もおもわず面食らわずにはいられなかった。
いったい何があったの?
事の真相が知りたいところだが、なにぶん人が多過ぎて黒板の前で何が起こっているのか確認することが出来ない。
そんな時、驚き顔で「信じらんない」とか「ありえない」とか騒ぎ立てている生徒達の中に、ポツンとひとり真っ青な顔で立ち尽くしている生徒に目が留まった。

