「…………」 あ、あれ……? 待つこと十秒。 一向に平手が飛んでくる気配がない。 不振に思った私は、固く閉じた目を恐る恐る開けてみた。 「え……?」 するとそんな私の視界に飛び込んで来たのは、先程ぶつかった男の子が振り上げた女の子の手首をつかみ、殴るのを止めてくれている姿だった。 助けて……くれたのかな? わけがわからず目を白黒させながら男の子を見ていると、やや呆れたような口調で男の子が口を開いた。