「私はもう大丈夫だから、翔は部活に戻って?」
「な……っ!?」
私の言葉に驚いて、目を見開たまま翔が反論してくる。
「なに言ってんだよ! こんなフラフラなヤツ置いて、呑気に部活になんか戻れるわけないだろ!?」
「っ! や、やだなぁ。私もう全然大丈夫だよ? ほら! こんなに元気だもんっ」
元気だということをアピールするため、笑顔で腕を大袈裟にブンブン振り回して上半身を動かしてみせる私。
本当は足首だけでなく上半身の打ち身もあちこち痛むのだが、それを今顔に出すわけにはいかなかった。
「ねっ? 本当に元気でしょ?」
そう言ってニッコリ笑う私を、恐い顔でジッと見つめてくる翔。
やがて目を伏せてふぅっと小さな溜め息をつくと、呆れたような声で呟いた。
「俺が七瀬の嘘、見抜けないとでも思ったか?」
「っ!?」
再び私に向けられた切なげな翔の視線に、おもわず胸がドキンと高鳴る。
それと同時に、体中が熱を帯びたようにカッと熱くなるのを感じた。

