私の言葉で、髪の毛を掴んでいる女の子の手が怒りでブルブルと震えている。
間髪入れずにグワっと目を見開くのが見えた瞬間、もの凄い勢いで私の体が地面へと投げつけられた。
「うぐっ……!」
受け身を取ることも出来ず、ドンッと激しく地面へと叩きつけられる私の体。
体勢を立て直す間もなく両腕を周りの女子生徒達に地面に押さえつけられてしまい、またしても身動きを封じられてしまった。
「もう許さない……。二度と冬真に近付けないくらい痛めつけてやる……っ」
ヒタリ……ヒタリ……と、憎しみで我を忘れたリーダーの女の子が近付いてくる。
「……くっ!」
どうにか逃げ出そうと腕に渾身の力を込めてもがく。
しかしいくら私がバレー部いちの剛腕といえど、腕一本に対し、相手がたとえ女子でも全体重を乗せて押さえつけられてしまえばどうすることもできない。
そんな私を満足気に口角を歪めながら、蔑むように上から見下ろしてくる女子生徒達。
ついにリーダーの女の子が仰向けになっている私の傍らに膝をつき、容赦なく私の胸ぐらをもの凄い力で掴み上げた。
「ぐっ……げほっ……」
気道が塞がれ、思うように息ができない。
く……るしっ……っ!
あまりの息苦しさに顔を歪める私。
それでも必死に瞼の隙間から相手を見やると、空いている右の手が高く掲げられているのが映った。
―― 今度こそ殴られるっ!
前回は桐生君が助けてくれたが、さすがに今回はそれも望めない。
覚悟を決めた私は、口の中を切らないようグッと奥歯に力を込め固く目を閉じ、拳が下りてくるその時を待った。

