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いったいどこまで連れて行く気だろう……?



てっきり中庭辺りで話をするのかと思いきや、気が付いてみるととっくにそれを通り越していた。


どんどん校舎から離れ、敷地の端へと向かっている気がする。


進むにつれ人気もなくなり、既にこの段階で行き違う生徒などほとんどいないという有り様だ。



「ねぇ、もういいかげんここでもいいんじゃない?」



わざわざこれ以上遠くまで行く必要性を感じなかった私は、耐え切れなくなってそう切り出した。



「もうすぐだから」



そんな私の声に、先頭を歩いていた女子生徒が間髪入れずに返事をする。


歩いている位置といい、受け答えも全て彼女がしていることといい、三人の中では中心的な人物なのかもしれない。


そんなことを呑気に考えていると「ここよ」と、前を行く女子生徒達が不意に立ち止まった。



ここ……合宿棟の裏……。



合宿棟とは、夏休みや冬休みなどの長期休みなどに、泊りがけで部活の練習をする生徒達が寝泊まりに使う建物である。


普段は使われていないため校舎から離れた敷地内の最端に位置しており、用でもなければまず人が近付く場所ではない。


案の定こうしている間も人の気配は全くなく、鬱蒼とした雰囲気が漂っていた。



まあでも、これだけ校舎から離れて死角になってれば、誰にも気付かれることがなくてかえって好都合か……。



そう思った私は、さっさと事を済ませようと自ら話を切り出すことにした。