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「じゃ~ね~!」
「バイバ~イ」
帰宅する生徒やこれから部活に行く生徒で賑わう放課後の正面玄関。
私は今日は部活が無いけれど、麻優は図書委員の当番、桐生君は例のごとく工藤さんに連れて行かれてしまったため、久しぶりにひとりでの帰宅となった次第だ。
“例のごとく”とは言うものの、さすがの桐生君も私の許しが出ているからとはいえ色々思うところがあるらしく、誕生日の日以来二回に一回は工藤さんの誘いを断ってくれるようになった。
そんなこともあってか、昼間聞いた“桐生君と工藤さんが付き合っていた”という話も、思いのほか私の中で尾を引きずってはいなかった。
どうしよっかな。せっかくだから、駅前の本屋にでも寄ってこっかな。
まだ時間も早く、真っ直ぐ帰るのももったいない。
確か昨日が愛読している大人気少女漫画『最上階ラブ』の最新刊の発売日だったことを思い出した私は、ひとり気ままに寄り道していこうと決め玄関を出た。

