「キャッ」

「っと」



ガシャンッ



ぶつかった側の手に持っていた私の鞄が、その拍子に床に落ちてしまった。


それだけならなんてことなかったのだが、運が悪いことに鞄のチャックを閉め忘れていたため、中の荷物が派手にバラまかれてしまったのだ。



「あっちゃ~、やっちゃった……」



とりあえずぶつかった男の子に「ごめんなさい」と一言謝り、慌てて荷物を拾っていたのだが……



「ちょっと~。冬真にぶつかっておいて『ごめんなさい』の一言で済ますつもり~?」

「ふざけないでよね~」



男の子と一緒にいた数人の派手な女の子達が私に絡んできた。



ゲッ……。めんどくさ~……。



面倒事が嫌いで関わりたくなかった私は、あえて聞こえないフリをした。



恐らくそれがしゃくに障ったのだろう。



いかにも私がリーダーです的な女の子を筆頭に、数人の女の子がしゃがんでいる私の前に立ちはだかり、腕組みをしながら威圧的な目で見下ろしてきた。