キスから始まる方程式



「桐生君……っ」



たまらなくなって名前を呼ぶと、私の瞳からまた一筋涙が零れた。



「んっ……」



それを愛おしむように、桐生君が唇を頬に這わせ私の涙を拭う。


やがてその唇が、私の唇へとゆっくり重ねられた。



「……ん……っ」



触れるだけのささやかなキスから、次第に熱く深いものへと変わって行く。



「んっ……ふうっ…………んん……っ」



何度も角度を変えながら、生じてしまった心の隙間を埋めるように激しく互いを求め合う。


甘い桐生君の唇に頭の芯が麻痺したようにしびれて、もう何も考えることができなかった。