……っ、私の誕生日……ちゃんと、知っててくれたの……?
嬉し過ぎて胸が打ち震えた時、私の体がフワッとシトラスの香りと優しい温もりに包み込まれた。
「誕生日おめでと」
「……っ、桐生く……っ」
耳元で囁かれる桐生君の甘くて優しい声に、胸がキュンと締め付けられる。
力強い腕にギュッと抱きしめられ、幸せ過ぎて気が遠くなりそうだった。
あ……っ。
それと同時に、私の中にわき上がって来た桐生君への罪悪感。
工藤さんが現れてから桐生君のことを疑うばかりで、ちっとも信じようとしていなかったことに気が付いたのだ。
私、最低だ……っ。桐生君はこんなにも私のこと想っててくれたのに……。
怖がって変な意地ばっか張って、ちっとも桐生君と向き合おうとしてなかった……っ。
あまりの己の不甲斐なさに、嫌気を通り越して憤りさえ覚えた。
「桐生君っ……ごめっ……っ」
私の肩に回された桐生君の腕の袖をギュッと掴む。
震えた声で謝罪の言葉を口にした時、私の瞳からも大粒の涙が零れ落ちた。

