「桐生君……これ……?」
震える手でそっとネックレスに触れる。
よく見るとハートの枠の左下部分に、緑色のストーンがはめ込まれていた。
もしかして……私の誕生日……
「うん。店員さんに頼んで、七瀬の誕生石入れてもらった」
「っ! な……んで、私の誕生日……っ」
知ってるの?
最後の部分は震えて声にならなかった。
そんな私の疑問を察したように、桐生君がちょっと恥ずかしそうに言葉を続ける。
「ん……。その……昔の紹介名簿見て……」
紹介名簿……? あっ……!
我が校は入学してすぐ新入生同士の交流の一環として、ひとりひとりの名前や生年月日、出身校などの簡単なプロフィールが載せられた冊子を、各教室と図書室に配布する恒例行事がある。
各教室用のものは二年生になる際に処分されてしまうため、恐らく桐生君は図書室に置かれた紹介名簿で私の誕生日を確認したのだろう。

