キスから始まる方程式




「目、瞑って」

「っ、目……? えっ、なんで……?」



突然おかしなことを言い出す桐生君。


しかし桐生君に背中を預けるようにして座っているため、桐生君の顔を窺い見ることができない。



「いいから」

「う、うん……っ」



不思議に思いながらも促されるまま言われた通り目を瞑る私。



なんだろう……。……まさか目を開けたら、突然工藤さんが目の前にいる、なんてことないよね……。



どこまでも後ろ向きな考えが、この期に及んでもつきまとって私から離れない。



まさか……いや、いくらなんでもそれは……。



そんなことをひとり悶々と考えていると、突然首にヒヤリとした感触が走った。



ビクンッ



驚いて震えた私に「まだ目ぇ開けるなよ」と、桐生君が言い添える。



これって……この感触ってまさか……



予想外のことに、ドキドキと高鳴る胸の鼓動。




「開けていいよ」



ほどなくしてやや低音の優しい声が背後から聞こえてきた。



ゆっくりと目を開いておそるおそる首元に目を落とす。


すると私の瞳に、ハートのチャームがついたキラリと輝くピンクゴールドのネックレスが飛び込んで来た。