「べ、べつに、私が誰と付き合おうと翔には関係ないじゃんっ」
意地っ張りな私の口が、次から次へと心にもないことを吐き出してゆく。
「なんでいちいち翔に怒られなくちゃいけないの?」
あぁ、まただ……。
「翔は、南條さんのことだけ考えてなよっ」
どうしていつもこうなのだろう……。
こんなことが言いたいわけじゃないのに、翔が相手だとつい正反対のことばかり言ってしまう。
「ああそうかよ」
「……っ」
「じゃあもう勝手にしろ! あとで困ったって、俺は知らないからなっ」
「……」
翔は怖い顔でそう私に言い捨て、足早に学校へと歩き出した。
「か、風間君!」
その場に取り残された南條さんは、困ったような顔で私を一瞥し、ペコリと軽く会釈をするとそのまま翔のあとを追いかけて行った。

