え~と……結城七瀬、結城七瀬っと……。



玄関前に貼り出された新しいクラス分けの表を、背伸びをしながら確認する。


なにしろ同学年の生徒が一斉に同じ表を確認するのだから、当然ひしめき具合も半端ない。


おまけに表自体が1クラスにつきA3のコピー用紙1枚分とかなり不親切な大きさのため、その中から自分の名前を見つけ出すのは容易ではなかった。



んも~っ! 去年もそうだったけど、なんでもっと表を大きくしないかなぁっ。



方々から押される上になかなか自分の名前がみつからなくて、無駄にイライラが募って行く。



そんな中、突然背後から腕を掴まれた。



「キャッ」



驚いて慌てて後ろを振り返る。


するとそこに立っていたのは、ニコニコと満面の笑みを浮かべた親友の麻優だった。



「七瀬おはよ!」

「麻優!? ビックリした~っ」



エヘヘ、とイタズラっ子みたいに笑いながら私を見上げてくる麻優。


バレー部の練習で春休みも時々は顔を合わせていたものの、数日ぶりに見るその笑顔に先程のイライラがみるみる間に消えていった。