「七瀬、どうかした?」

「え? あ、うん。なんか桐生君が日本史の教科書忘れたらしくて借りにきたんだけど、私の教科書が見つからなくて……」

「日本史の教科書? だったら、私の持ってこよっか?」

「ほんと? 助かる! 麻優ありがとっ」

「いえいえ、どういたしまして」




「それじゃちょっと取ってくるね」



そう言い残し自分の教室へと走って行く麻優。



それにしても、私の教科書どこに行っちゃったんだろ?


やっぱり家に持ち帰っちゃったのかなぁ。



なんともスッキリしない思いを胸に抱えたまま、麻優が戻って来るのを待ち続けたのだった。