誰だろう……?
「ごめん、ちょっと行ってくるね」
そう言い添えて、抱きついていた麻優からゆっくり離れる。
そのまま小走りに廊下へとおもむいた。
「お待たせ……って……っ!?」
「よお」
目の前に現れた人物を見て、思わず目を丸くする私。
廊下で待っていたのは、つい先程まで話題にのぼっていた桐生君本人だった。
「なにそんなに驚いた顔してんだ?」
「っ! えっ!? いやっ、あの……桐生君が直接教室に会いにくるなんて、珍しいな~って思って……」
「あぁ、まあな」
現にクラスメイトや廊下にいる生徒達も、こそこそと話しながらこちらを気にしているのが伝わってくる。
「え~っ? やっぱあの2人が付き合ってるのって本当だったんだ~」
「桐生君に彼女できちゃって残念だよねぇ」
そんな周囲の雑音をかき消すように、私は再び桐生君に問いかけた。

