「と~に~か~く~! 七瀬はもっと恋愛面に対して大人にならないと」
「お、大人?」
「そうっ。心の準備もなしにいきなり桐生君に押し倒されたって、私知らないからねっ」
「えっ? そんな~っ! 麻優~っ。見捨てないでよ~っ」
ぷくりと頬を膨らませながら、怒ったようにそっぽを向く麻優。
そんな麻優に涙目ですがりつくようにして抱きついた私に、さすがの麻優も諦めたように口を開いた。
「んもうっ。しょうがないなぁ」
「麻優っ」
「まったく七瀬ってば、普段はあんなに凛々しいのにねぇ……」
「アハハ、面目ない」
呆れ顔でそう呟く麻優に、苦笑いで返す私。
するとその時……
「お~い結城! 呼んでるぞ~っ」
「え?」
教室の入り口で私を呼ぶクラスメイトの声が聞こえてきた。

