キスから始まる方程式



カタン



「七瀬?」

「桐生君……」



腕組みをしたまま階段に座っていた桐生君が、明らかに不機嫌そうな表情でこちらに視線を向けた。



「ったく、今何時だと思ってんだ! 昼休み、もうすぐ終わっちまうぞ」

「……ごめん……」

「え? あ、いやまぁ……わかってんならそれでいいけど……」



いつもならすぐに言い返してくる私が妙におとなしくて、桐生君が拍子抜けしたように言葉を詰まらせた。



「んなことより、俺もう腹減りすぎて死にそうだぜぇ……」

「あ! うん、そうだった」



育ち盛り真っ只中の桐生君のお腹が、まるで訴えるかのようにグ~と可愛く音をたてる。


私は慌てて抱えていた手さげからお弁当箱を取り出すと、桐生君に「はい」と手渡した。



「へへっ、待ってました!」



不機嫌顔から一変、ニコニコと嬉しそうな表情になった桐生君が、いそいそとお弁当の包みをほどく。


そしてお弁当箱のふたを開けた瞬間、満面の笑みで声をあげた。