「いっぱい作り過ぎちゃったから、友達にあげようと思って……っ」

「へ~、ふ~ん、ほほ~お、『友達』ねぇ……」

「なによ……っ」



相変わらず含み笑いをしながら、楽しげにこちらを見つめるお母さん。



「そ~んなに一生懸命尽くしてあげる程、その『お友達』とやらのことが好きなんだ~」

「なっ!? あ、あたしはべつに、桐生君のことなんてなんとも……っ」

「へ~え? お友達、桐生君っていうんだ~」

「うぐっ……!」



しまった……!



ニシシ、としたり顔でお母さんが喜ぶ。


お母さんの明らかな誘導尋問的な話の進め方にまんまと引っ掛かった私は、見事と言うべきかうっかりと言うべきか、あっさりと桐生君の名前を口にしてしまった。



う~……、お母さんてばもうっ……。



恨めしげに眉根を寄せながら唇を尖らせる私に、お母さんが「まぁまぁ」となだめるように近付いてきた。