「あっ! 桐生君、それ甘いからダメ……っ」
「んあ? ふっげーふまいぞ、ほえ(すっげーうまいぞ、これ)」
モゴモゴと口いっぱいに頬張りながら、次々と残りのガトーショコラも口へと運んで行く。
桐生君、甘いモノ苦手って言ってたのに……。
「あ、あの……桐生君っ。甘いモノ苦手なんだし、そんな無理しなくても……」
心配そうにおろおろと様子を見守る私に、桐生君が額にうっすらと汗を浮かべながら答える。
「……るせえ。今日は甘いモンが食いてえ気分だからいーんだよ」
そう言うと、ついに最後のひとつまでキレイにたいらげてしまった。

