「うっ……ひぃっく……」



それでもなんとか頑張って食べていたのだが、途中でどうしてもやるせなくなってしまい、ついにはその場に突っ伏してしまう私。



やっぱり翔になんかあげようとするんじゃなかった……。


南條さんには……『彼女』には、幼なじみの私がどれだけ頑張ったって、どうしたってかなうわけないのにっ……!



「おーっと、それすっげーうまそうじゃん」

「え……?」



両膝に顔を埋めて泣いていた私の耳に、突然誰かの声が聞こえてきた。


涙でぐしゃぐしゃになった顔をゆっくりと上げる。


するとそこには、嬉しそうにガトーショコラに手を伸ばす桐生君がいたのだった。