「ぷぷっ。何このいびつな形っ。南條さんのはあんなにキレイだったのに……。
私のなんて、見るからに美味しくなさそう……」



不揃いのガトーショコラに目を落とす。



「きっとこんなの貰ったって、翔だって嬉しくないよね……」



ポタッ



「でも……それでもどうしても……翔に食べてほしかった……。
翔に……美味しいって笑ってほしかったの……っ」



ポタポタポタッ……



そう思った瞬間、私の瞳から次々と涙がこぼれ落ちた。



「……っくっ……。うぅっ……」



どうにも悔しくて悲しくて、自分で作ったそれを口の中に無理やり押し込む。



「うぅっ……お、美味しいっ……美味しい……もんっ……」



食べれば食べる程、涙がとめどなく溢れてきて止まらなかった。