「はぁっ……よいしょっと……」
目的の場所に着いた私は、疲れ切ったようにそのまま床へ腰を下ろした。
やっぱり……ここは誰もいなくて落ち着くな……。
嫌なことから逃れるように、両膝に深く顔を埋めた。
ここは教室棟と隣接された管理棟にある、屋上へと続く階段の踊り場。
教室棟の屋上は生徒も自由に出入りができるのだが、この管理棟の屋上は立ち入り禁止となっている。
そのおかげで三階から屋上に上がるための階段が普段は誰にも利用されておらず、私にとっては誰からも邪魔されないお気に入りの場所だった。
「なんで……なんでいっつも私ってば、翔にあんなこと言っちゃうんだろ……」
強い力で何度も握りしめたため、すっかり包装紙がヨレヨレになってしまった包みを見つめながらポツリと呟く。
私はただ……翔の喜んでくれる姿が……翔の笑顔が見たかっただけなのに……。
再び包みをギュッと握りしめ、それを愛おしむように頭を下げて額に押し当てる。
「これ……どうしようかな……」
一生懸命作っただけに捨てる気にもなれず、私はその場で包みを広げ始めた。

