キスから始まる方程式



「か、風間君……っ」

「っ!」

「南條……」



私達のやり取りを見ていた南條さんが、たまらず間に止めに入る。



その白くてキレイな手で、しっかりと翔の腕をつかんで……。



なんで……なんでなんで……なんでいつもこうなっちゃうの……!?



どうにもやりきれなくて、後ろ手でつかんでいた荷物をギュッと握りしめる。



そして



「あ、あたしっ、なんだかお邪魔みたいだから……もう行くねっ」

「え? あっ、結城さん!」

「南條っ、いいんだ……っ」

「えっ……で、でも……」



誰が聞いても情けないと思うだろう言葉を翔に投げつけ、逃げるようにしてその場をあとにしたのだった。