「あいつのはわかるけど、今年は俺の分はないのか? 七瀬、毎年俺にくれるじゃん。義理チョコ」
「っ!?」
義理チョコ……。
いつもとは全く違う、まるで私を突き放すような言い方で『義理チョコ』の部分を強調する翔。
なんだかわざと軽い感じでじょう舌に振る舞っているようにも見える……。
しかし……
「……い」
「え?」
「ない……っ。翔にあげるチョコなんてあるわけないじゃんっ」
「!」
意地っ張りの悪い癖が出てしまった私は、売られたケンカは買ってやるとばかりに、つい突き放すような言葉を翔に叩きつけてしまった。

