キスから始まる方程式



やっば! バレー部の子達っ!


予想外のことに、思わずうろたえる私。



「あ……あー……うん、ちょっと用事があって……」

「え~、そ~なんですかぁ? 寒いからカゼひかないで下さいね~っ!」

「あはは……ありがと。 あんた達もね…」

「は~い! それじゃまた部活でっ」

「うん、またね……」



作り笑いをしながら適当に答えを返す。



よかった、あんまり突っ込んでこない子達で……。



そうホッと胸を撫で下ろしたのもつかの間



「七瀬……?」

「っ!?」




私の今の会話が聞こえたらしく、最悪なことに今度は翔に気付かれてしまった。



どうしようっ……気付かれちゃった!



先程以上に頭がパニックになり、どうしたらいいかわからない。



「おい、七瀬っ」

「えっ? いや、あのー……」



そう言って翔がこちらへとやって来る。


翔の顔をチラリと見ると、明らかに気まずそうな表情をしていた。



私が隠れてずっと見てたの、バレちゃったかな!?



こうなってしまった以上もう仕方がない。


覚悟を決めた私は、とりあえず咄嗟に持っていた荷物を背後に隠し、きちんと翔の方へ向き直ったのだった。