「うっま! やっべこれ、すっげーうまいっ!!」
「ほ、ほんと? よかったー! 頑張って作ったかいがあったわ」
「あぁ、ほんとほんと! サンキューなっ」
嬉しそうに満面の笑みを浮かべながら、口いっぱいに頬張る翔。
ズキンッ
改めて目の当たりにした残酷な現実に、私の胸が張り裂けそうなほど激しく痛み出した。
いつも……美味しいって言って翔が嬉しそうに笑いかけてくれたのは……私だけだったのに……。
でも……そんなの当たり前だよね……。南條さん……翔の彼女だもん……。
そして私は……いつになっても単なる幼なじみ……。
渡すはずだった包みを、震える手でつぶれてしまいそうなくらいにギュッと強く胸に抱きしめた。
「あっれ~? 七瀬先輩っ! こんなところで何してるんですか~?」
「っ!?」
そのとき突然、私を呼ぶ声が背後から聞こえて来た。
慌てて後ろを振り返る私。
そこにはバレー部の後輩の女の子達が、不思議そうな顔をしてこちらを見ていたのだった。

