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風を身で切り裂いていく。

近くなった空はすっかり藍色。

森の上空をあっという間に過ぎ去れば、ここからでも凄まじい攻撃音が聞こえてきた。

「あっ……」

先に目を移せば、かやぶき屋根の立ち並ぶ村の目前の草原にたくさんの人が見えた。

赤々とした松明が点々と灯っている。

烏天狗側の軍勢は30以上。

黒い翼で浮き上がり攻め入ろうとする烏天狗。

勢いをなくし飛び交う青い狐火。

最前線で縦横無尽に振るわれる爪の輝き。

前線で戦うふたりに続き、村の男性までが刀を振るっている。

その後ろに控えた女性たちは、弓を構えている。

村のみんなが、刃を取っている。

恐ろしい黒い光線が飛び交っているのに、皆で歯を食いしばっている。