早くおうちに帰りたい……。

私の涙は止まらなかった。

周り中真っ暗闇で、怖くて、体が凍りついていく。

その時、また不気味な笑い声がとどろいた。

「おい、追い詰めたぞ」

おどろおどろしい、恐ろしい声が頭の上から降ってくる。

「きゃあ!」

心臓が飛び出しそうに跳ね上がる。

必死になって、見を隠すように、幼稚園のポシェットを両腕で抱きかかえた。

「うまそうだ」

姿はなにも見えないのに、声が耳のすぐそばで聞こえる。

逃げる力なんてわいてこなかった。

「姫巫女の子、姫巫女の子ぉ~」

見えないのに、耳にねっとりとした息がかかる。

私はポシェットをきつくきつく抱いて小さくなり、喉が痛いほど泣き叫ぶ。