いつからいたんだろ。


見られてないよね…?



あたふたしながら、口角を上げ笑顔を作った。



「はーい。」


「わかんないんとこ、あるんですけど。」


「あ、了解。」


「授業の前でも、いいですか??」


「うん、いいわよ。今、行くね。」




私は、裕木亜澄。24歳。



駅前にある進学塾の、臨時講師。


一応、国立大学出身。


小学校の先生になりたいと夢見て取得した教員免許。


どういうわけか、今はここで大学受験を控えた子供たちに国語を教えている。



さっきの、葛西先生は、―――。



葛西大哉、28歳。



私が高校生の時にお世話になった、家庭教師だった人。