最初こそ緊張していて、先生とは全然、喋れなかった。
そもそも、極端な人見知り。
今、思い出しても笑えるんだけど、声は出さずに頷くだけで精一杯。
きっと、先生が気を使ってくれていたんだと思う。
飛鳥が間にいることで、少しずつ飛鳥の話題で会話をするようになって。
飛鳥も学校で先生の話題を振ってくれたりしたから、会話に困ることはなくなった。
そうなってくると、――――。
初めて接する異性ということで、私の脳が意識し始める。
葛西先生は、年上だし、優しいし、イケメンだし。
勝手に、ドキドキ舞い上がっていたわけで。
だけど、親友の……。
飛鳥の、先生の話をする時の表情があまりにも柔らかくて。
私の淡い恋心は、自制心が働いて自然に消滅していく。
うん、初恋なんてこんなもの。
初恋が叶うなんて、ない、ない、ない。
私は自分の気持ちにそっと鍵をかけて、二人の行方を見守ることにした。
上手くいけばいいな、なんてお気軽に考えていたんだ。