◇ 8



その日は、朝から雨だった。



霧のような細い雨の中、飛鳥の七回忌の法要が始まった。


私は後ろの方に並び、手を合わせる。


遺影の中の飛鳥は、いつまで経っても綺麗なままだ。



飛鳥、―――。



もしかしたらね、ここにこうやって並ぶのは最後かも。


でも、ちゃんと毎年会いに来るからね。


飛鳥が寂しくないように、ちゃんと会いに来るからね。



大哉の隣には、未紗子さんが並んでいた。



私は知っている。



最後はいつも親戚の人たちに囲まれて、赤ちゃんのことを聞かれて恥ずかしそうに答えてるあなたを。



あなたと大哉の赤ちゃんは、どこに行ったんだろうね。



「大哉君のところは、結婚して何年目になるのかな。」


「もう7年です。」


「あら、そろそろ赤ちゃんが欲しいわね。

お母さんにお孫さん、抱かせてあげなきゃね。」