それなのに、――――。




あの日、家にいた私に未紗子さんから泣きながら電話がかかってきた。



「余計なこと、話してないわよね?」


「余計なこと?」


「葛西君が冷たいのよ。飛鳥ちゃん、何か言ったんじゃないの?」


「…っ。」



正直、カチンときて。



「話すなって言われたことは話してないですっ!」


「何、その言い方。私のこと、馬鹿にしてるの?」


「どうしてそういうふうになるんですか。

未紗子さん、今どこにいるんですか。」


「飛鳥ちゃんちの前よ。」


「えっ!!」



慌てて玄関を開けると、泣きじゃくりながら座り込む未紗子さんがいた。



「どうしたっていうんですか。」


「何であんたがいなくなったのに、葛西君はこっちに来ないのよ。」


「何、言ってるんですか。」