◇ 飛鳥 3





私は、――――。



自分がとてつもなく最低な人間だと、わかっている。




毎週、水曜日、―――。



『わかんないとこあるから、教えて。』



絵文字も顔文字もない、簡潔なメールを毎回送信して。



玄関のチャイム音。


そこからだいたい、150秒。


階段を上ってくる足音。


控えめに叩かれるノックを合図に、私は大哉君を迎え入れる。



ずっと、ずっと好きだった。


物心ついてからずっと、私は大哉君が好きだった。



その大哉君の腕の中で、―――。



私はただひたすら啼かされる。




嬉しくて。



嬉しくて。



触れてもらえることに、幸せを感じて。




だけど、今、―――。



私の中には、もう一人、いる。




大哉君では、物足りない。




だって、彼は、――――。



私を抱かない。




抱けないでいる彼のことが。




私は本当に、嫌いだ。