「裕木先生、送りますよ。」



塾長の声に、振り返る。



大哉に見つからないように、上手くコンタクト取れたんだから。


行って確かめた方が早いよね。


でも、話って…何を聞けばいいんだろ。



車の中でもずっと、堂々巡りなことばかり考えて。



「疲れてるみたいだから、ゆっくり休みなさいよ。」



塾長にまで心配をかけてしまった。



待ち合わせは、深夜。



一度、家に帰ってから。



塾の後、そのまま行動するとやっぱり人の目につきやすい。


家に着くと、急いでスーツを脱いだ。


動きやすい楽な服装に着替え、教えてもらった携帯番号に電話をかける。



その5分後、――――。



自転車に乗った八木君が、私を迎えに来た。