◇ 7





「あいつの兄貴が、飛鳥を無理やり襲ったんだよ。


飛鳥は保健室で、あいつの兄貴に、レイプされたんだ。」





眉間に皺を寄せた痛々しいくらいの苦悶の顔。


奥底に眠っていた気も狂わんばかりの激しい怒り。


その感情の全てをぶつけてきた大哉の声が耳に残る。



襲われたとか、レイプとか、―――。



そんなの、怖いとか恐ろしいとかしか…身の竦むような感情しかなくって。



「俺から聞くより、本人から聞きたいでしょ。」



八木君の言葉につい頷いちゃったけれど……。


授業が終わる頃になると、正直、怖気づいていたことも事実。


だけどもう、約束してしまったし。


何より、断る術もないっていうか……。



「もう…。」



小さく息を吐くと、パソコンの電源を落として帰り支度をする。


もうほとんどの先生たちは帰っていった。



勿論、大哉も―――――。