◇ 大哉 4



「ただいま。」



パタパタと足音を立てて、未紗子が小走りにやって来た。



「おかえりなさい。」


「うん。」



華奢な腕を首に回して、背伸びをしながらキスを求めてくる。



「お腹、減った?」


「うん。」


「今日はね、お鍋にしたんだよ。」


「そっか。」



学生結婚、だった。


結婚してもう、7年は経つ。



その間、―――。



俺は未紗子のことを、一度も愛してると思ったことはない。


未紗子とは、飛鳥のことで自暴自棄になっていた頃、知り合った。


偶然にも、未紗子は飛鳥のバイト先の先輩。



そして、―――。



未紗子を通じて、俺と飛鳥はまた繋がり始める。