「ありがとうございました。」




走り去る車に向かって、頭を下げる。



「…はぁ。」



車が見えなくなってから、小さく息を吐く。


空が白み始めていた。


混乱した頭を冷やしたかったのか、私はしばらくその場を動けずにいた。



「飛鳥…。」



親友だって、思ってた。


そう思ってたのは、私だけだったのかな。


八木君のお兄さんから語られた飛鳥は、私の知らない飛鳥だった。


何も、知らなかった。


いや、知ろうとしなかったのかな。


私もあのクラスメイト達と同じ。


わかったような振りをして、飛鳥のことを見目形だけで判断していたのかもしれない。



ショック、だった。