◇ prologue ◇



ドンペリニヨンシャンパンフルート。



シンプルで美しく、重量感のある、クリスタルグラス。



そして、―――。



恭しく箱に収められた、ピンクのドンペリ。



「おおーっ。」



葛西さんは、少し興奮したような声を出す。



「…ちょっと、緊張してきた。」



その笑顔が眩しくて。


私はドキドキと高鳴る胸を、左手でぐっと抑え込む。



「…開ける?」



「開けよっか…。」



間近で絡まる、瞳。



くすくすと笑いながら、葛西さんの腕が私へと伸びてくる。