そうだ、俺はここに来てMの事をシオリに話したんだっけ。すっかり忘れてた………。


‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐Mの事誰にも言うなよ。

リーダーの言葉が頭を駆け巡る。


俺はまだこの世界について詳しくないけど、
Mはこの世界の何かを握っている人物。

それだけは分かる。


幸いにもシオリはMと言う名前は忘れていたらしく、カシワギには知れなかった。でも………


一番知られてはいけない人に
大事な事を知られてしまった気がした。



『……………私何かまずい事言った?』


この場の空気に耐えられず、シオリが不安そうな顔をしてる。

ゲンタやノリも含めてここにいた全員が異様な空気を感じ取っていた。


『…………いや、悪い。急にでかい声だして』


そんなみんなの顔を見てリーダーは外へ飛び出した。俺は心配になってすぐにその後を追った。


俺達が居なくなった家でシオリ、ゲンタ、ノリ、アンナが何も思わない訳がなく、

“何か自分達には言えない事がある”と

それぞれ口にしなくても感じていたと思う。


その小さな亀裂が後に大きな亀裂になってしまう事に、俺もリーダーも気付けなかった。