上を見上げれば青い空、白い雲。
でも清々しい色ではなく
ペンキで塗ったみたいなそんな色。
右を見れば色々な店とカラフルな看板。
すごく綺麗な作りだけど、
ミニチュアのおもちゃみたい。
左を見れば大きな建物や家。
木々や新緑、そして色とりどりの花。
童話の絵本から飛び出してきたような建物は
まるで偽物のよう。
下を見ればレンガ模様のコンクリート。
どこまでも続く正方形の模様はやけに目が疲れる。
俺はさっきまで美術館にいたはずだった。
それなのに目の前にあった絵の中の風景が今、
俺の目に映っている。
………………俺はついに、
ついに来てしまった。
ずっと子供でいられる自由の世界、
そう、夢の国へ………………。