シオリはリーダーの家を出た後、自分の家には帰らず1人で街をウロウロしていたらしい。
『………大丈夫?』
俺は冷蔵庫に入っていた缶ジュースをシオリに渡した。
この世界に慣れてきたと言っても俺の部屋は相変わらず何もない。だけど俺の意思としては殺風景なままでいい。
ゴチャゴチャしたのが嫌なんじゃなくて、
この家を本当の家にしたくないだけ。
生活用品や必需品を買えば嫌でも生活感溢れる部屋になるし、きっと暮らしやすくなるだろう。
そうなってしまう事がものすごく怖かった。
お金もなくて好きな物が買えてしまう世界だけど、
俺はあの家に帰りたい。
ずっと欲しかったパソコンもなければベッドだってフカフカじゃない。家だって築何十年も経ってるし、風呂だって狭い。
不便で不満だらけだったあの家だけど、
俺は帰りたいんだ。
『突然ごめんね、なんか気付いたらユウキの家の前に来てて……』
シオリは椅子に座ってギュッとジュースを握りしめた。
『いや、俺は平気だけど……』
『なんか不安でさ………』
確かにダイキ組のあんな状況を見たら不安になるのも無理はない。しかもゲンタは抜けちゃったし。
俺は本当の理由を知ってるけど、シオリ達は知らないから色々考えるのは当たり前だ。



