俺は座り込んだまま、下を向いて目を閉じた。
この世界の情報を頭に入れると今まであった記憶が薄れていく。つまりミノルとの記憶を探せば探すほど、大切な何かを失うって事だ。
でも、ミノルとの記憶を思い出さないと出口は永遠に見つからない。
情報を入れれば進行は早まって、恐れて何もしなければ記憶が消滅するのをただ待つだけ。
ここはそんな理不尽な世界なんだ。
『はぁ………………
もう何も考えたくない………』
どうにも出来ない事をどうにかしようとしてる事
事態が間違いだったんだ。
この世界に来た時から、
ここの住人になった日から、
もう結果は決まっていた。
俺は目を閉じたまま、暫くうつ向く事しか出来なかった。
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『ねぇ、あんたにとって1番辛かった事って何?』
まただ。また頭の中で声がする感覚。
しかも今日はいつもとは違う声で、映像まで俺の中に流れこんでくる。
俺は夢を見てるのかな………?
もう、なんだっていいや…………………