『ユウキがね………』
会話の途中で聞こえた俺の名前。
電話の相手は多分おふくろの彼氏だ。
俺の話しなんてするなよ。何を話してるんだろ?
『あーユウキは駄目よ。やりたい事ないもの』
『それにうちにはそんなお金ないしね。あの子は言わなくても分かってるから平気よ』
『大学?無理無理。
就職してもらわないとこっちが困っちゃうわよ!』
偶然聞いてしまった言葉に、俺は胸を鷲掴みにされているような感覚がした。
『…………っ』
分かってる。
そんな事今さら言われなくたって分かってんだよ。俺に将来の選択肢はないって事ぐらい。
‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐バンッ!!
勢いよくリビングのドアを開けて、すぐさま携帯を取った。おふくろは唖然としていたけどすぐにまた電話で話を始めていた。
『はぁ………』
自分の部屋に戻って俺はため息をついた。
分かっていたけど、おふくろの本音を聞いて正直すごくショックだった。
うちには大学や専門に行くお金はない。
そんな事初めから分かっていたはずなのに………。
別に大学や専門に行ってやりたい事がある訳じゃない。いや、やりたい事なんて今まで考えた事なかった。



